最優秀賞
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「日本の若者たちへ」グェン・ ティ・ トゥイ(ベトナム) |
憧れの日本。どこもきれいな先進国。わくわくした。大学に入り日本人の友達もたくさんできた。しかし、日本人の若者と話しているうちに、ベトナムの若者との違いが見えてきた。恋をしたことがない、恋人がいない若者が多いのだ。梅田の繁華街でも、カップルをあまり目にしない。ベトナムでは、若者が恋愛をしないことなどあり得ない。夜になれば、きれいな服を着て賑やかな場所にでかけ、恋人を探す。日本にはベトナムにある若さや活気がない。
この素晴らしい日本がこれからも繁栄し続けるには、若者の情熱が必要である。日本の若者に言いたい。勉強や仕事だけでなく、恋にも勤勉に向き合ってみてはどうですか。 |
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優秀賞
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1.「言葉で築かれた壁を乗り越える」パトリック・スルサー(アメリカ) |
谷崎潤一郎の『痴人の愛』を英訳で読んだのがきっかけで、日本語で日本の小説を読みたくて猛勉強したが、日本文化の観察者から日本社会の参加者にはなかなかなれない。アメリカ人のリービ英雄の『星条旗の聞こえない部屋』を読み、言語の壁を乗り越えた作家に魅せられた。
日本人と話していて、日本語が聞き取れない時、すぐ英語に切り替えられると、言葉の壁に躓いたような失敗感を感じる。私の日本語に、英語で返事されると歯痒い。言語の壁を乗り越えるのは生易しいことではないが、日本社会の参加者になりたいので、日本語に挑戦し続ける。 |
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2.「笑顔で戦争の話を。そして平和の話に。」デームゲン・アニカ(ドイツ) |
今治へ向かうフェリーの上で、「どこからですか?」と話しかけられた。またいつもの国際交流の始まりだと思っていたら、「戦争についてどう思いますか」と尋ねられた。彼は、日本経済回復のために、戦争になればいいと言う。仕事で苦労しているのかもしれない。しかし、戦争になれば、相手を知らないまま殺し合うことになる。このように戦争について和やかに話し合えるのは、平和の証だと言うと、彼は、「日本は幸せなのかな」と言い、また穏やかな会話に戻った。 |
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3.「待ちの美学、本の森へ」イ・ミナ (韓国) |
韓国では編集者をしていた。日本原作の作品を出版するとき、日本人は、時間を度外視して韓国語版を検討したので、いつも焦った。日本に来て、効率を考えずお客さんを大事にする日本人の接客態度に驚いた。日本の本屋は、様々なアイデアでお客さんを楽しませる工夫をしている。急ぎながら前だけを見ているのではなく、小さなことにも目を向ける日本人の余裕を感じる。 |
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4.「郷に入れば郷に従え」 アリ(インドネシア) |
日本の小学校に通学する長男は、宿題はするがそれ以上の勉強はしない。それが心配でならない。日本の小学校は学力でなく、社会の一員として「生きる力」を育成するところのようだ。個人ではなく集団を大事にしている。一体感が大事にされ、他人がどう見るかが行動の基準になっている。インドネシアでは小学校から進級試験があり、落ちると進級できない。学校は知識を習得するための場所。クラスメートは競争相手だ。個人が大事にされ、他人の目でなく神の目が行動の基準である。どちらがいいとは言えない。郷に入っては郷に従えだと思うことにした。 |